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車いすに乗ったまま運転できるクルマについて 当社事例

車いすに乗ったまま運転できるクルマについて 当社事例

車いすに乗ったまま運転できるクルマについて、実際の事例を交えてご紹介します。

当社の場合は、アメリカで販売がされているUSホンダのオデッセイをベースにしアメリカの架装会社であるブラウンアビリティ社が福祉車両に架装を行ったエンターバンと呼ばれる車両をベースに車いすに乗ったまま運転ができる車両を作成いたしました。

まず、ベース車両であるエンターバンの架装状況を説明します、通常の車両との大きな違いは、オデッセイ用の福祉車両フロアーASSYを開発製作しているので、新車のフロアーをすべて切断し、交換している点ではないでしょうか、この作業の結果、通常のオデッセイのフロアーよりも30センチ近く低くなっていることと合わせてフラット化を実現しています。

国産車で車いすに乗ったまま運転ができる車の実現が難しいのもやはりこのフロアーの低床化とフラット化が大きな障害となっています。

国産車ではミニバンタイプのものを選択し、できるだけ小型の車いすを使用していただくことによりその問題を解決していますが、対処療法でしかないというのは事実であると思います。

エンターバンではどうでしょうか?身長180センチの私が車いすに乗ったままで運転席に着いても頭の上は十分なクリアランスもありますし、目線も全く違和感はありません。

それ以外に、右側スライドドア側に全自動スロープが設置され、乗車時に車両を右側に傾斜するようなニールダウン機能もついています。

座席レイアウトは、通常では5名+車いす2脚仕様となります。

しかし、運転席、助手席とも取外しが可能なため、最大3名+車いす4脚仕様にもなります。

ハンドルは左ハンドル仕様のみとなります。

この車両をベースにお客様のお体に合わせて改造を行いました。

改造箇所は大まかに分類すると次のようなところになります。

1、手動運転装置
2、ハンドル旋回装置
3、ハンドル操作力の軽減化
4、車いす固定装置
5、オートマティック・セレクトレバーの位置変更と形状変更
6、各種スイッチの形状、位置変更

順に見てゆきましょう

1、手動運転装置
こちらは、フロアーが低くなった分と健常者が運転する際に座席を戻しても干渉しないように特別なブラケットを製作しています、また手に握力が無いことと可動能力を考慮しお客様専用のグリップを製作しました。

2、ハンドル旋回装置
昔々、製作した手の形に合わせたハンドルノブを持っておられたのでそちらを活用し、ハンドルに合わせて安全に使用できるようブラケットを製作しました。

3、ハンドル操作力の低減化
はじめて、このお車に乗られたときに、このハンドルの重さでは運転できないとおっしゃられた難問中の難問でしたが、無事にパワーステアリングのポンプの改造という方法でクリア、
電動パワステだったら無理かもしれませんでした。

4、車いす固定装置
車いす固定用の製品があります、イタリア製のKIVI・EZロックと呼ばれる製品です。
車両側にベースを取り付け、車いす側にアタッチメントを取り付けてガチャンと連結するものになります、ですから今回は車いすもお預かりし、補強をほどこしました。
微妙な調整が必要で今回一番苦労したところになります。

5、オートマのセレクトレバーの位置変更と形状変更
今回のお客様の場合、ハンドルの旋回装置に握力のない右手を固定する必要があるために
オートマのシフトレバーを操作できないといった状況が発生してしまいました。
オートマの操作のボタン化やコンピュータ化など検討を行いましたが製品が入手不可能であったり、海外製品しかなかったり、高価であったりと紆余曲折がありましたが、最終的には、この車両の構造的に移設が可能であると判断、お客様と相談のうえ移設をおこないました、また握力のない左手でシフトを操作するために形状を変更、試行錯誤のうえこのような形に・・・
器用にシフト操作を行われます。

6、各種スイッチなどの変更などなど
当然のことながら、窓を開けるスイッチやサイドブレーキ、ナビの取り付け、ETCなどなど
細かなところまでお客様とご相談しながら対応、現在もこれからも、お乗りになられる限り
対応は続いてゆきます。

 

今回は、お客様のご了解を得て改造内容についてご紹介いたしました、先日、ご連絡した時も大阪市内を走ってるっておっしゃってました、珍しい車なので街中ですれ違うこともあるかもしれませんね、その時は思いやりの気持ちで温かく見守ってあげてほしいと思います。

今回の改造事例の費用としては約150万程度ですが、車輛費用が別途必要になります、

並行輸入で改造したベース車両を送ってもらわないといけません、

費用的には現在ですと新車で1300万ぐらいでしょうか・・・、

実際には手に届く範囲のクルマではありませんね、
頑張って国産車で使用条件のない車いすのまま運転できるクルマの技術を開発してまいります。

尻切れトンボのようになりますが、まずは、実績のご紹介まででした。

次は、国産車での車いすに乗ったままで運転するクルマの可能性について書きたいと思います。

 

 

お問い合わせ、文責については
輝自動車工業株式会社福祉車両事業部
担当 さかた  072-444-2311(直) まで

 

 

 

 

 

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